INTRODUCTION

1995年に公開された、鬼才テリー・ギリアム監督によるSF映画の金字塔『12モンキーズ』。タイムトラベルと謎のウイルスを軸とする物語は衝撃的で、今なお世界中で熱狂的なファンを持つ伝説的な人気作だ。ブラッド・ピットがアカデミー賞®候補になったことでもよく知られている。

その時よりアメリカのテレビシリーズの質はかつてないほどに向上し、映画業界のビッグネームたちが次々とテレビ作品を手がける時代に、満を持して伝説のSF映画のテレビシリーズ化が実現した。展開はスピーディで毎回のように2転3転し、時間軸が入り組んだ作風はスリリングかつ見応え満点! 設定やキャラクターの名前、過去にタイムトラベルして人類を破滅へと追いやるウイルスを破壊するという大筋は映画と重なるが、テレビシリーズから観てもわかる作りのオリジナル・ストーリーとなっている。一方で、映画では物議を醸した謎の数々に説明がつく部分があるのは、映画ファンにとっても興味深いに違いない。

企画(脚本)を手がけるのは、「TERRA NOVA/テラノバ」や「NIKITA/ニキータ」を手がけたヒットメイカーたち。主人公のコールには、映画『X-MEN: ファイナル ディシジョン』やドラマ「NIKITA/ニキータ」のバーコフ役でおなじみのアーロン・スタンフォード。才色兼備のライリー役は、映画『J・エドガー』やドラマ「SUITS/スーツ」カトリーナ・ベネット役のアマンダ・シュル。ブラッド・ピットが演じた強烈な役は女性に変更され、映画『コズモポリス』のエミリー・ハンプシャーがエキセントリックに演じている。

STORY

鬼才テリー・ギリアム監督の傑作SF映画『12モンキーズ』をベースに、大胆にTVシリーズ化したSFアクションの待望のシーズン2。シーズン1の衝撃のラストを受けて、ドラマは危機的状況から怒涛の勢いで展開する。重症を負い、コールによって2043年へ送られたライリーと、再会したジョーンズ博士が直面する過酷な現実。2016年では、”12モンキーズ”軍団からともに逃走を続けるコールとラムゼ。それぞれが”12モンキーズ”の謎を追う中で、タイムトラベルを繰り返す彼らの行為自体が時空に歪みを生じさせていく。コールたちはパラドックスを回避し、世界の崩壊を阻止することができるのか? 息つく暇もないスリリングな物語は、想像を超えた新たな局面を迎える。

2043年、謎のウイルスによる伝染病が地球上に広がり、人類の99%が死滅。生き残った人類は地下世界で暮らすことを余儀なくされていた。ジョーンズ博士はウイルスを治療することは不可能で、人類を救うためには過去を変え、今ある未来を変えるしかないと考える。ウイルスを作った犯人の名前とコールの名前も聞き取れる音声メッセージから、ウイルスの脅威の始まりは2015年だと推測したジョーンズ博士は、ある理由があって独房に閉じ込められていたコールをタイムマシーンで過去へと送り出す。コールは音声メッセージを残した科学者ライリーを捜し出すが、間違って2013年に着いたため何も知らなかった。さらに12モンキーズという謎の組織の名前を知らされたコールは、ウイルスの謎を解くための重要な手掛かりとして情報を追う。やがてライリーの協力を得て、過去と未来を行き来しながらウイルスの謎の解明と破棄に奔走するコール。果たして、歴史を変えて人類の危機を救うことができるのか…?

COLUMN

「12モンキーズ」映画とシンクロする海外ドラマ

1995年に公開された映画『12モンキーズ』は、タイムトラベルと陰謀論、そして実はラブストーリーの要素がよく効いた非常に見応えのあるSFアクションだ。最大の見どころはプロットの巧みさで、未来と過去を行き来しながら人類絶滅の危機を招くウイルスを阻止するという大筋に沿いながら、巧妙に伏線を張り巡らせたミステリーと謎解きの妙には、今なお熱狂的なファンによる解釈が諸説あるなど根強い人気を博している。ドラマ版は、設定、大筋において映画を踏襲しており醍醐味は変わらない。映画でブルース・ウィリスが演じたジェームズ・コール、マデリーン・ストウが演じたキャサリン・ライリー博士、クリストファー・プラマーが演じたドクター・ゴインズ、デヴィッド・モースが演じたドクター・ピータースやホセといった主要キャラクターは、名前も役割も大まかにはドラマと同じ。一方、ブラッド・ピットが演じたゴインズの息子で精神病院に入っているジェフリーはドラマでは女性ジェニファーに変更されているほか、ドラマの方が圧倒的に登場人物の数は多く、各キャラクターのドラマの膨らませ方、物語の時間軸はさらに複雑に入り組んだものとなっている。初期段階での大きな違いは、ドラマではコールが変人扱いされるくだりは少なく、比較的早い段階で真っ当なヒーロー性を発揮していること。また、これが映画では最大のミスリードのもとになっている謎の集団“12モンキーズ”の正体も、謎の猿の絵など共通点は多いが、ドラマのシーズン1においてはなかなか意外性のある展開となっておりシーズン2への期待が膨らむ。さらに未来の描写などは、映画では詳細は描かれていないので映画の謎を残した部分を埋める要素として深読みできてよく考えられている。映画を既に観ている視聴者からすれば、こうなるだろうと予測してしまうからこそあえて裏切られる仕掛けもあるドラマシリーズは、映画ファンにとっても興味を引かれる内容となっている。
映画・海外ドラマライター 今祥枝

12モンキーズ ブルーレイ

DATA

原題:12MONKEYS
キャスト(声の出演)
  • ジェームズ・コール…アーロン・スタンフォード(小松史法)
  • カサンドラ(キャシー)・ライリー博士…アマンダ・シュル(甲斐田裕子)
  • ジェニファー・ゴインズ…エミリー・ハンプシャー(井上カオリ)
  • カタリーナ・ジョーンズ博士…バルバラ・スコヴァ(加良まゆみ)
  • ホセ・ラムゼ…カーク・アセヴェド(北島善紀)
  • アーロン・マーカー…ノア・ビーン(古屋家臣)
スタッフ
  • 企画・脚本・・・テリー・マタラス「TERRA NOVA/テラノバ」「NIKITA/ニキータ」(脚本)/トラヴィス・フィケット「TERRA NOVA/テラノバ」「NIKITA/ニキータ」(脚本)
  • 製作総指揮…ナタリー・チャイデス「HEROES/ヒーローズ」(脚本)/チャールズ・ローヴェン『12モンキーズ』『ダークナイト』『ダークナイト ライジング』『アメリカン・ハッスル』(製作)リチャード・サックル『アメリカン・ハッスル』(製作)

12モンキーズ